2019/03/27

タイの選挙について 30 連立政権

本日27日に選挙結果第1党のプアタイ党が中心になり7党が集まりコーソーチョー(国家平和秩序評議会)の政権継続を阻止する連立政権が立てられた。7党合わせておおよそ255議席で下院総数500議席の過半数に達しているということである。おおよそ255議席というのは未だに選挙委員会が正式な議席数を公表していないからである。

選挙委員会によるとイエローカード、レッドカードの準備をしていて公式発表ができるのは5月上旬ということである。コーソーチョー(国家平和秩序評議会)が暫定政府であった5年間にタクシン派の政党すなわち民主主義政党を弱体化するために憲法を改正して選挙法を改正してタクシン派の政党の解党もやったわけであるが、最後の手段が選挙委員会でレードカードを使って民主主義政党の議席が減るのを狙っているのだろう。

連立政権を構成する7党は次のとおりである。

1.プアタイ党
2.アナーコットマイ党
3.セーリールアムタイ党
4.プラチャーチャート党
5.プアチャート党
6.セータキットマイ党
7.パランプアンチョンタイ党


2019/03/25

タイの選挙について 29 選挙結果

3月24日に投票があった8年ぶりの選挙結果は次のとおりである。
選挙委員会によると公式の発表は5月になるということで次の議席数は変わる可能性がある。選挙委員会への国民の不信はますます大きくなり罷免の署名が40万人集まっているということである。

1.プアタイ党         135議席
2.パランプラチャーラット党 117議席
3.アナーコットマイ党     80議席
4.民主党           53議席
5.プームチャイタイ党     51議席

下院500人において首相を出すのは第1党なのでプアタイ党が主導権を握り連立を組んで与党になるというのがこれまでの常識であったが、今回の選挙からは首相選出に上院250人が参加するので、このようなやり方は無理かもしれないが、国会運営を考えると500人の半数250人以上は必要なのでどのような連立になっていくかはまだ時間がかかりそうである。

いずれにせよ選挙が無事に終わり、今回の首相が誰になろうとも4年毎に国民は選挙の1票でタイ国民でありどのような政治が必要なのかという決定権を再び取り戻したということだろう。

一気に議席を減らした民主党はアピシット党首の辞任になるであろう。クーデターにも反対せず軍人政権にも反対せずに正直者、いい人が政治をやるという訳の分からないことを5年間言い続けた結果だろう。

それに対してアナコットマイ党の躍進はタイの政治に希望をもたらし若い人が多いので4年後の選挙ではもっと注目を集める政党になっているだろう。


*選挙後の会見でアピシット民主党党首の辞任の発表があった。


2019/03/20

タイの選挙について 28 3月24日の選挙

あと4日で8年ぶりの下院選挙がある。3月17日の事前投票では70%以上が投票したことで
国民の選挙に対する関心が高まっているのが見て取れる。今日の新聞では24日の投票率は
89%を超えると予想している。

これだけの関心の高さは8年ぶりの選挙ということもあるがクーデター以降に政権を確立したコーソーチョー(国家平和秩序評議会)のやってきた行為を国民は初めてこの選挙で評価を出すことができるという意味もあるようである。学者によると今回の選挙は民主主義者Vs軍人独裁の裁判のようなもので国民は投票によってタイの将来にはどちらが必要かを判断するということである。

今回の選挙について民主主義者の見解は次のようである。

1.民主主義 Vs 軍人独裁
2.コーソーチョー Vs 反コーソーチョー
3.現首相続投 Vs 反続投
4.民主主義政党 Vs 独裁継承政党

これに対する軍人独裁の見解は次のとおりである。

1.タクシン派 Vs 反タクシン派
2.家を燃やし国を燃やす Vs 治安安定
3.古い政治 Vs コーソーチョー政治

2.家を燃やし国を燃やす というスローガンは民主党政権時の副首相であったステープが赤服のデモに対して言い放った言葉でタクシン派の政権では治安が不安定になり軍人が政権を取ると治安が安定するというスローガンに使われている。それ以降ステープは反タクシン運動であるパンタミット運動を引き継ぎゴーポーポーソーを立ち上げてバンコクの治安を乱したのは周知の通りで、一体誰がバンコクの治安を乱して反タクシン運動を推進してきたのか明白になっている。

最近はこのステープが現首相の続投を意図する政党の集会にゴーポーポーソー運動で引き連れたバンコクの地方差別主義者をまた呼び寄せて他に策もないのか反タクシン運動を再現するように笛を吹き拍手のおもちゃを打ち鳴らしステープ劇を再開しているようである。



2019/03/08

タイの選挙について 27 タイラクサーチャート党の解党

昨日、3月7日に憲法裁判所はタイラクサーチャート党の解党を命ずる裁定を下した。この件は選挙委員会がタイラクサーチャートを立憲民主主義に敵対していると憲法裁判所に訴えた件で、これまでの憲法裁判所による反タクシンという判例を見ていると今回のタイラクサーチャートがタクシン派である事を考えると解党という裁定は予想できていた。タクシン派にとっては打撃だろうがタイラクサーチャートを応援する票はプアタイ党に戻るだけなので大きい影響はないということである。

今回の件を考えていて思いついたのは反タクシンという呼び方は分かりやすいが根本的に誤解を与えていると気づいた。反タクシンではなく反民主主義だとはっきりというべきだろう。