2018/05/03

アンリ・ムオの旅行記からの発見

アンリ・ムオの旅行記「インドシナ王国遍歴記」を読み直すと面白い発見があったので書いておく。アンリ・ムオはフランスの探検家で博物学者でもあり19世紀にアンコールを「再発見」したことで有名である。ラーマ4世治世のころにタイに着きあまり好きになれなかったバンコクを拠点としてタイ、カンボジア、ラオスと旅行を続けて珍しい動物や昆虫の標本を集めている。読んでいるとアンコールワットの再発見は偶然ではなくこの頃に布教に来ていたカソリックの神父から情報を集めていたようである。1858年から1861年のタイ、カンボジア、ラオスでの旅行では川で行ける所は船を使い、陸路は象か水牛の荷車を使ったようである。

バンコクでの印象ではタイの親は大変子供を可愛がり大事にするという文章があり、ぼくも同じ思いを持っているので嬉しかった。以前読んだ時はアンコールワットがジャングルの中にありやっと見つけたのだと思っていたが、まったくジャングルに埋もれていたのではなくある程度の見通しが出来たのだと気づいた。またソムレ族について書いている中でソムレ族こそがアンコールワットの時代のクメール人であるというのが興味深かった。ラオスへ行くときはバンコクで王から各地の藩主への象を借りる手紙を書いてもらったようである。ジャングルを行くには象しか手段がなかったようである。そしてタイの人たちが象を愛して大切にする気持ちの中には、仏教の教えにあるマーヤー夫人がヴァイシャーカ月に6本の牙を持つ白い象が胎内に入る夢を見てブッダを懐妊したということもあるが、具体的には象がいないとジャングルでは何も出来ないので象が大切にされたということだろう。そして犬についてはシャム人は犬に反感を持っていて可愛がらないので半野生で放っておかれているとありそれは今でも変わっていないと関心をした。この旅行では一番の敵は蚊に咬まれることだったようで一番ひどかったのがタイのペッチャブリーで体中に何千匹という蚊が取り付いたということである。

航海⇒バンコク⇒チャオプラヤー川⇒アユタヤ⇒プラパート山⇒サラブリー⇒バンコク⇒チャンタブリー⇒タイ湾の島⇒カンボジア・カンポット⇒ウドン⇒メコン川⇒プノムペン⇒ピニャール⇒
トンレサップ⇒バッタンバン⇒アンコールワット⇒バッタンバン⇒タイ国境⇒バーンパコーン川⇒
バンコク⇒ペッチャブリー⇒バンコク⇒ロッブリー⇒チャイヤプーム⇒ペッチャブーン⇒コラート⇒ピマーイ⇒ローイ⇒ラオス・ルアンプラパーン⇒ラオスで熱病にかかり亡くなる